10周年記念対談ブログ(2) 滝田衛さん

おかげさまで、2012年4月に発足した鎌倉あそび基地(旧:梶原あそび基地)は、10周年を迎えました。
お世話になった方々や共に頑張ってきたスタッフとの対談をブログで連載し、これまでの団体の歩みをご紹介しつつ、次の10年に向けて団体の活動を応援してくださるパートナーを募集していきます。
よろしくお願いいたします。


2022/10/12 オンラインにて

 

水澤:今日は、Largo発足のきっかけとなり、その後Largoのファシリテーターとしてずっと温かくサポートしてきてくださっている滝田さんに、Largo発足当時からこれまでを振り返ってお話を伺えればと思います。よろしくお願いいたします。

水澤:滝田さんとの出会いは、梶原子ども会館運営時代の2012~2016年の間に滝田さんが主宰している七里が丘子ども若者研究所の記事を新聞で見つけて、その場にいたメンバーでお話聞きたい!と盛り上がり、突然お電話したにもかかわらず遊びに来てくださったのがきっかけでした。その後しばらくご無沙汰してしまっていて・・。『ふかふか』がオープンして間もなく久しぶりに連絡させていただいたら、すぐに来てくださったんですよね。

滝田:梶原でのことは、知っていたし、水澤さんが深沢で施設を構えたと建築家の日高さん(ふかふかを設計)から聞いて気になっていたからね。その時に、水澤さんが、学童を開設したけど午前中は空いているから、フリースクールをやるのはどうだろうかと相談してくれてね。スタッフの皆さんの子どもに対する目線のすばらしさと、多様な子どもたちの背景にいる親のことも気にかけることができている様子をみて、大丈夫だと思った。きっかけは偶然だったけど、今思えば、鎌倉あそび基地がフリースクールを始めることは必然だったと思うね。

水澤:ありがとうございます。その後すぐ、現プロジェクトリーダーの小林を紹介してくださって、そこから現在関わっているスタッフが続々集まってきてくれました。2017年のLargo開設当初で印象に残っていることはありますか?

滝田:不登校の子どもたちは、当時圧倒的に中学生が多かったのに、Largoには小学生がすぐに大勢集まってきて穏やかに過ごしていた。中学生は、それまでの自分を振り返って課題を意識して居場所を選ぶけれど、小学生の彼ら彼女らは直感的に居心地の良さを感じて入会したはず。スタッフが安心感、居心地の良さ、一人ひとりと向き合っている証拠だから、すごいと思ったよ。
上から目線で「教えてあげる」とか「~してあげる」という場所が多い中で、保護者の方々の希望にスタッフの皆さんが真剣に悩み、右往左往している姿は本当に微笑ましく、応援したいと思った。そうやって一つ一つ丁寧に向き合ってきたことが今、財産になっているよね。

水澤:2018年の春に開催した建長寺での講演会「きみの笑顔が見たい」をやってみたらと提案してくださったのは滝田さんでした。

滝田:「学び」が学校の外に広がるLargoの取り組みに期待し、お互い勉強になるんじゃないかと思ったんです。東大異才発掘プロジェクトROCKETの中邑賢龍先生に講演をお願いして、当日は鎌倉の松尾市長も来てくれましたよね。Largoスタートのイベントとして、子どももスタッフも支援者も精一杯取り組みました。

水澤:はい。本当にありがたかったです。中邑先生のお話が聞けるとなれば、市外・県外からでも参加したい方がいらっしゃるはずだから、鎌倉らしい場所での開催がいいよね!ということで、建長寺さんに会場をお借りしたいとお願いに伺いました。講演会の趣旨を説明させていただき、あの美しく広い会場をお借りできると決まった時には、本当に感激したのを覚えています。
当日は、子どもたちが会場案内や募金を、近隣の親の会などの方々が受付や会場準備をお手伝いしてくださり、おかげさまで100名以上のご来場があって・・。たくさんの方々にエールをいただき、頑張ろうという思いを新たにしました。
そして、夏には「エンカレ」という子どもたちがカッコいい大人(プロ)に出会うワークショップを6講座開催しました。最後の講座は、滝田さんの教え子であるネプチューンのホリケンにも来ていただきました。

滝田:そうだったね。立て続けに大きなイベントを成し遂げ、それを実績としてかながわボランタリー基金21に応募、教育行政との協働事業として不登校の子どもたちの理解と学び支援の展開を提案し、採択されて・・。翌年、再び建長寺さんで西野博之さん(認定NPO法人フリースペースたまりば)の講演会をやった時には、基金21の協働先の神奈川県教育委員会のご担当も駆けつけてくれましたね。

水澤:そうでした。当時藤沢の新林小学校の校長先生だった古島そのえさんも何人かの先生方を誘って来てくださったのですが、その翌年の人事異動で、協働先の課長さんとして赴任されたのには本当に驚きました。個人的にも古島さんは昔テニスをご一緒した仲だったし、協働事業もよりよい方向に向かっていきそうな予感がして、すごく嬉しかったのを覚えています。

滝田:この間、Largoの子どもたちにも素晴らしい出会いと成長がいくつもあったね。
小4で入会した彼は、元高校の数学教員で養護学校も経験しマイコンの専門書の著者でもある方にLargoで出会って、それこそ家族ぐるみで可愛がっていただいてものすごく成長した。

水澤:はい。Largoの子どもたちにも一目置かれるような存在になっていって。2年前くらいから学童のやんちゃな低学年の子どもたちにも、時折プログラミングを穏やかに教えてくれるんですよ。本当に感慨深いです。

滝田:ギターをきっかけに変わっていった子もいたね。教育センターに来られず、家が近かったからぼくの研究所に来て、その後Largoを利用するようになった。凄いなと思ったのは、「おじいちゃんのギターを弾きたい」といっていたと思ったら、いつの間にか弾けるようになっていたこと。聞いたら「YouTubeで学んだ」と。驚いたね。映像で学ぶ、独学する、仲間と発表する。そういう場としてのLargoの存在意義の大きさがありましたね。

水澤:はい。たまたまうちのスタッフ宅のご近所に、Eテレでも活躍されているプロのギタリストの方がいらして、面識もなかったのに彼の力になればと思い切ってアタックしたところ、私たちの思いに共感してくださって・・。そこからLargoの少年とプロのギタリストの、ギターを通じての交流がはじまりました。その後さらに、英語の先生として関わってくれているシンガーの方が、弾けるようになってきたギターに歌を乗せてくれたり、さらには市内で行われる先生のステージにギタリストとして何度も出させていただいて、たくさんの人に拍手をもらって・・・。
昨年秋に「全日制の公立高校を受験する」と話してくれたときは驚きましたが、彼の目が決意に満ちていたんです。今年2月、合格発表を確認したその足でLargoに報告にきてくれた時は、本当に感激して泣きました。

こうしてみると順調に成長したように聞こえますが、そんなことは全くなくて、学校に行ってみてはやはりつらい時も多く、友人関係に悩んだこともあったし、彼曰く受験すると宣言したものの、本当に集中して勉強できるようになったのは1月に入ってからだったとのことでした。本当に頑張ったと思います。高校生になった今も時折顔を出してくれますが、自分の経験したことが少しでも今、同じように不登校で苦しんでいる子たちの力になれたらと、経験したことを話したいと言ってくれています。

滝田:その他にも、たくさんの子がLargoを巣立っていったよね。不登校に苦しみながら、自分は何者なのか、何をしたいのか、そのためには何をすべきなのかとずっとずっと悩み続ける。でも地域のあちこちで彼らを見守ってくれる大人たちに応援されながら、少しずつ、でも今思うと着実に成長していった。自由で開かれた学びの場。子どもと子ども、子どもとスタッフ、スタッフと親、そして子どもと親が向き合い交流できる。Largoの役割が見え夢が実現しつつありますね。

水澤:そうですね。一人として同じ子どもはいないから、私たちは相変わらず右往左往しているわけですけれど、そうやって一人ひとりに向き合っていくしかないし、それぞれの思いを大切にしていきたいです。滝田さん、これからも歩み続けるLargoのファシリテーターとして、スタッフ研修の講師として、よろしくお願いいたします。

滝田:こちらこそ、よろしくお願いします。これからのLargoも楽しみにしています。

水澤:お忙しい中、ありがとうございました。
 

滝田 衛さんプロフィール
元横須賀市中学校教員(社会科・指導主事・教頭) 心理職。
1997年 横須賀市スペースゆうゆう(学校外教育支援センター)の親たちと、不登校ボランティアグループ未来・ひきこもり親の会willよこすか、2004年NPO法人アンガージュマン・よこすか(フリースペース・学習支援・就労支援など)の活動を進める。
2013年地元鎌倉で七里が丘子ども若者支援研究所開設「子ども若者応援団」を作り、不登校・ひきこもり・発達障がいへの理解応援活動を三浦半島領域で展開。現71歳

  

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