『ふかふか』ができるまで (9)

朝早くからスタッフが続々集まりました。
今日は面白い作業になるからと、すでに学童の申し込みをしてくださっているご家族や地域の子育て仲間にも声をかけています。
たくさんの人の出入りがあってお祭りの様になる予感!
作業の動線を確保し、お昼も少しずつでも働いてくださった方に食べていただけるようにと、一品持ち寄りのおかずを並べ準備していると、建築家の日高さんや左官職人の方、静岡からも大工仲間の方が駆けつけてくれて、いよいよ作業スタートです。

竹を格子状に組んだ竹小舞の壁に、土を塗っていくと、反対側はぽこぽこっと泥団子が飛び出したような形になって、なんとも愛嬌のある状態になります。
左官職人さんの様にスイスイと塗ることを想定していたけれど、全くそんな風にはいかなくて、土は重いし大変な作業です。
最初は我先にとやり始めた子どもたちも、思うようにできなくてずっと集中して作業するのは至難の業。

しばらくすると、見かけないお子さんがやたら慣れた手つきで作業しています。
他の子どもたちも「誰?誰?」と感心して作業に見入っている。
日高さんから声を掛けられ紹介を受けてご挨拶したのは逗子でフリースクールをはじめるというご夫妻。
あの手慣れた作業ぶりのかっこいい子どもたちは、彼らのお子さんでした。
以前から日高さんの現場にお邪魔しては作業を手伝っているのだそうで、この後も数回、ふかふかの作業を手伝ってくれました。

このご家族との出会い、日高さんが不登校の子どもたちや地域の子どもたちと触れ合って感じていたことをいろいろと話してくださったこと(日高さんは西鎌倉地区の学校の評議員やラグビースクールのコーチもされています)、長年不登校の子どもたちに寄り添ってきた滝田衛先生に再会したことなど、いくつものご縁が重なって、半年後にフリースクール事業を立ち上げることを決意していくことになります。

ふかふかの作業を通じて様々な人とのご縁が広がり、寒さの中で手を動かしながら夢を語って・・・。
不安もあるし大変だけどワクワクしていた、そんな時間が過ぎていきました。